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2023/05/18

チームビルディング研修の目的とは?タックマンモデルで考えるチームの段階別の狙い方【2026年版】

チームビルディング研修の目的を「チームワークの向上」と書いていませんか。それでは何をやっても達成したことになり、何もやらなくても失敗しません。目的は、いま自社のチームがどの段階にいるかで変わります。タックマンモデルの4段階に沿って、段階別の目的と「3か月後に見たい状態」への翻訳の仕方を整理しました。

目次

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チームビルディング研修の目的は、チームの段階によって変わります

チームビルディング研修の目的を「チームワークの向上」と書いてしまうと、何をやっても達成したことになり、何もやらなくても失敗しません。目的は、いま自社のチームがどの段階にいるかによって変わります。できたばかりのチームに必要なのは相互理解、衝突が起きているチームに必要なのは対立の扱い方、機能し始めたチームに必要なのは役割の再配分です。段階を見誤ると、正しい研修でも効果は出ません。

この記事では、チーム発達の古典的な枠組みであるタックマンモデルを使って、段階ごとに研修の目的がどう変わるのかを整理します。あわせて、自社のチームがいまどの段階にいるかの見分け方と、社内で共有できる目的の書き方をお伝えします。株式会社クック・ビジネスラボは、三菱商事・AWS・PwCをはじめとする100社以上、累計6,000名以上の研修を担当してきました。

チームビルディング研修そのものの定義や全体像はチームビルディング研修とは何かを解説した記事にまとめています。本記事は「何のためにやるのか」に絞ってお話しします。

なぜ目的が曖昧なまま研修が決まってしまうのか

研修の目的が定まらないまま日程だけが先に決まる。これは担当者の準備不足ではなく、構造的に起きやすい現象です。

多くの場合、研修の話は「何かやったほうがいい」という上からの一言から始まります。予算がつき、日程が仮押さえされ、担当者に降りてくる。この時点で、解決したい課題は誰の口からも語られていません。担当者が「目的は何ですか」と聞き返しても、返ってくるのは「チームの一体感を高めたい」といった、それ自体は正しいけれど何も決められない言葉です。

そこで担当者は研修会社を探し始めます。各社のWebサイトを見ると、どこも似たような効果が並んでいる。 目的が決まっていないので、比較の軸は金額と日程しか残りません。 こうして選ばれた研修は、実施はされますが、後から振り返っても何が変わったのか説明できません。

この流れを断ち切る方法はひとつです。研修会社を探し始める前に、チームの段階を見立てること。段階が決まれば目的が決まり、目的が決まれば手法の比較ができるようになります。

タックマンモデル——チームは4つの段階を通る

心理学者ブルース・W・タックマンが1965年に提唱したチーム発達モデルです。60年前の枠組みですが、現在も実務で使われ続けているのは、段階の順序が飛ばせないという指摘が現場感覚と一致するためです。

段階状態職場で見える兆候
形成期(Forming)お互いをよく知らず、様子を見ている会議が短く終わる。反対意見が出ない
混乱期(Storming)意見の対立や役割の摩擦が表面化する特定の2人が衝突する。派閥ができる
統一期(Norming)共通の進め方や価値観が固まってくる暗黙のルールができる。会議が回り始める
機能期(Performing)役割が自律的に動き、成果が出る指示がなくても補い合う。判断が現場で完結する

実務で重要なのは、 混乱期を避けて統一期には行けない という点です。対立が起きていないチームは仲が良いのではなく、まだ本音を出していないだけ、というケースが少なくありません。当社が100社以上の現場で見てきた「一見うまくいっているのに成果が出ないチーム」の多くは、形成期のまま止まっています。

もうひとつ、メンバーが入れ替わると段階は巻き戻ります。異動や中途入社があった直後のチームは、たとえ長く一緒に働いてきた人が多くても、形成期に戻っていると考えたほうが実態に合います。

段階別に、研修の目的はこう変わる

段階が分かれば、目的は自動的に決まります。

段階研修の目的3か月後に見たい状態
形成期相互理解。何を大事にして働く人かを知る会議の発言者が増えている
混乱期対立の扱い方を学ぶ。前提の違いを可視化する意見の違いが議論として扱われている
統一期共通言語をつくる。暗黙のルールを言語化する新メンバーが早く馴染めている
機能期役割の再配分。次の目標を共有する中堅層が新しい挑戦を始めている

3列目に注目してください。 目的は「3か月後に見たい状態」に翻訳できて初めて使えるものになります。 「一体感を高める」は翻訳されていない状態、「会議の発言者が2名から6名に増えている」は翻訳された状態です。後者であれば、研修会社との会話も、実施後の振り返りも成立します。

効果がいつどのように現れるかについてはチームビルディング研修の効果にまとめています。

自社のチームは今どの段階にいるか——3つの見分け方

段階の判定に、特別なツールは必要ありません。次の3点を見てください。

会議で反対意見が出るか。 出ないなら形成期です。全員が賛成している会議は、健全なのではなく、本音が出ていない可能性が高い。とくに管理職の発言に誰も異を唱えない状態は、心理的安全性が確保されていないサインです。

衝突が個人間で止まっているか、議題になっているか。 特定の2人が対立していて周囲が見て見ぬふりをしているなら混乱期の入口、その対立が会議の議題として扱われているなら混乱期の出口です。同じ混乱期でも、必要な研修が変わります。

新しく入った人が3か月で馴染むか。 半年経っても輪に入れない人が出るなら、統一期のルールが暗黙のまま固まっています。この状態は一見安定して見えますが、人が入れ替わるたびに生産性が落ちます。

判断に迷う場合は、複数の段階にまたがっていると考えて構いません。部署によって段階が違うことも普通にあります。その場合は、最も課題が顕在化している部署の段階に合わせて設計します。

もうひとつ、判定を早める簡単な方法があります。 直近3回の会議で、誰が何回発言したかを数えてみてください。 参加者6名の会議で発言者が2名以下なら形成期、4名以上が発言していて意見が分かれているなら混乱期、発言者は多いが議論がすぐ収束するなら統一期以降です。所要時間は会議に同席するだけで、記録用紙も不要です。

この数え方は、研修後の効果測定にもそのまま使えます。研修前に3回、研修後に3回記録しておけば、変化を数字で社内に示せます。ただし研修の直前に慌てて数え始めると、その会議自体が「観察されている会議」になってしまうため、研修が決まった段階から始めてください。

目的の書き方——「3か月後にどうなっていてほしいか」を一文にする

当社が事前ヒアリング(60分程度)で必ずお願いしているのが、この一文です。書き方には型があります。

  • 誰が(対象を具体的に。「全社員」ではなく「営業部の若手10名」)
  • どんな場面で(「会議で」「1on1で」「日常業務で」)
  • 何をしているか(観察できる行動で書く。「意識が変わる」は不可)

例を挙げます。「営業部の若手10名が、週次会議で自分の意見を最低1回は発言している」。これなら3か月後に確認できます。逆に「営業部の一体感が高まっている」は、確認する方法がありません。

書けない場合の対処法もお伝えしておきます。行動で書けないときは、たいてい対象が広すぎます。「全社員」を「営業部の若手10名」に絞る、「日常業務で」を「週次会議で」に絞る。対象と場面を狭めていくと、書けるようになります。それでも書けない場合は、まだ研修を発注する段階ではありません。現場に話を聞きに行く段階です。

この一文があると、3つのことが同時に起きます。研修会社に渡せば提案の質が上がり、社内稟議では成果指標として使え、3か月後の振り返りではそのまま評価軸になります。 目的を一文にする作業は、研修の準備というより、研修を評価可能にする作業です。

目的が定まると、手法の選択が変わる

目的が決まると、比較の軸が金額と日程から手法の適合性に移ります。

形成期の相互理解が目的なら、全員が必ず発言する構造を持つ手法が要ります。グループディスカッション形式では発言量に偏りが生まれ、もともと話す人だけが話して終わります。混乱期の対立を扱うなら、意見そのものではなく、その意見の背景にある前提を可視化できる手法が向きます。統一期の共通言語づくりなら、複数部署の混成グループで実施できる規模対応が条件になります。

手法のカタログから逆引きしたい場合は課題別チームビルディング研修の比較記事を、変わり種を含めて見たい場合はユニークなチームビルディング研修10選をご覧ください。研修会社の選定基準はチームビルディング研修の外注・業務委託先の選び方にまとめています。

当社が用いているレゴ®シリアスプレイ®メソッドは、参加者がブロックで作品をつくり、その作品を手がかりに語る形式です。話す前に作るので、話す内容を思いつく必要がありません。この構造が、形成期の「発言しない人が発言しない」という状態を崩します。また、意見ではなく作品が議論の対象になるため、混乱期の対立を人格の問題にせずに扱えます。

混乱期を「悪い状態」と誤解しない

補足として、混乱期についてもう少し書いておきます。この段階を問題として扱う組織が多いのですが、実際には チームが本音を出し始めた証拠 です。

当社が相談を受ける案件で最も多いのが、この段階での「関係が悪化した」というご依頼です。話を伺うと、以前は会議が穏やかに終わっていたのに、最近は意見がぶつかるようになったという内容であることが少なくありません。これは悪化ではなく前進です。形成期の静けさは、単に誰も本音を言っていなかった状態だからです。

ここで管理職が「仲良くやってほしい」と介入すると、チームは形成期に押し戻されます。必要なのは対立をなくすことではなく、対立を人格の問題ではなく前提の違いとして扱えるようにすることです。研修の役割はここにあります。

なお、混乱期が長期化して特定の個人への攻撃に変質している場合は、研修の範囲を超えます。人事の通常プロセスで対応してください。研修は関係性の設計を扱うものであり、個別の懲戒事案を解決する手段ではありません。

目的別に見た、よくある取り違え

現場でよく見る取り違えを3つ挙げます。

取り違え1:形成期のチームに、混乱期向けの研修を当てる。 本音をぶつけ合うワークを、まだ相互理解のないチームで実施すると、対立だけが残ります。順序を守ってください。相互理解が先です。

取り違え2:機能期のチームに、形成期向けの研修を当てる。 十分に成熟したチームに自己紹介系のワークをすると、「なぜ今さらこれを」という空気になります。この段階に必要なのは、次の目標の共有や役割の再配分です。

取り違え3:段階の異なる複数部署を、同じ内容で一斉に実施する。 全社研修でよく起きます。同じプログラムを当てると、どこかの部署には合いません。対象を分けるか、部署ごとに問いを変える設計にしてください。当社では同じテーマでも、部署の状況に応じて投げる問いの文言を変えています。

失敗の類型をより網羅的に知りたい方はチームビルディング研修の失敗例7類型をご覧ください。

研修の後、段階を後戻りさせないために

せっかく段階を進めても、放っておくと戻ります。とくに戻りやすいのが、形成期から混乱期へ進んだ直後です。本音が出るようになった状態は、管理職から見ると「まとまりがなくなった」ように映るため、無意識に元へ引き戻す力が働きます。

戻さないために、社内でできることが3つあります。

第一に、 管理職に「対立が出てきたのは前進です」と事前に伝えておくこと です。研修を実施する前に、この一言を共有しておくだけで介入の仕方が変わります。人事から言いにくい場合は、研修会社から説明してもらう形でも構いません。当社では事前ヒアリングの段階でこの点を必ずお伝えしています。

第二に、 会議の進め方を1つだけ変えること です。たとえば議題ごとに全員が一言ずつ話す時間を設ける。研修で身につけた「発言する」という行動に、職場側の受け皿を用意する意味があります。受け皿がないと、研修の中だけで完結して終わります。

第三に、 3か月後に振り返る予定を先に押さえること です。研修の日程を決めるときに、同時にカレンダーへ入れてしまう。後から設定しようとすると、忙しさに紛れて実施されません。段階が定着したかどうかは、この振り返りで確認します。

いずれも予算はかかりません。研修の内容を磨くより、この3つを整えるほうが結果への影響が大きい場面は少なくありません。

よくある質問(FAQ)

Q. チームビルディング研修の目的は、どう設定すればよいですか?

A. 「3か月後にどうなっていてほしいか」を一文で書いてください。誰が、どんな場面で、何をしているかを観察できる行動で表現します。「営業部の若手10名が、週次会議で自分の意見を最低1回は発言している」といった形です。この一文があれば、研修会社への依頼も社内稟議も振り返りも成立します。

Q. タックマンモデルは今でも有効な枠組みですか?

A. 1965年に提唱された古い枠組みですが、実務では現在も有効です。段階の順序が飛ばせないという指摘が、現場感覚と一致するためです。ただし直線的に進むわけではなく、メンバーの異動や中途入社があると前の段階に巻き戻ります。この点を踏まえて使ってください。

Q. 対立が起きていないチームは、良い状態ではないのですか?

A. 良い状態の場合と、まだ本音が出ていない場合があります。見分け方は、会議で反対意見が出るかどうかです。全員が賛成している会議は、健全ではなく形成期に止まっている可能性があります。当社が現場で見てきた「一見うまくいっているのに成果が出ないチーム」の多くがこの状態です。

Q. 部署によって段階が違う場合、どうすればよいですか?

A. 部署ごとに段階が違うのは普通のことです。全社一斉に同じ内容で実施するのではなく、対象を分けるか、部署ごとに投げる問いを変える設計にしてください。当社では同じテーマの研修でも、部署の状況に応じて問いの文言を変えています。一斉実施はどこかの部署に合わなくなります。

Q. 目的が「上から降ってきた」場合、どうすればよいですか?

A. 降りてきた言葉をそのまま使わず、一段具体化してください。「一体感を高めたい」と言われたら、「どういう場面で、誰の、どんな行動が変わればよいと考えていますか」と聞き返します。この確認を発注前に済ませておかないと、実施後に評価がずれます。

Q. チームの段階を判定するツールやアンケートは必要ですか?

A. 必要ありません。会議で反対意見が出るか、衝突が個人間で止まっているか議題になっているか、新しく入った人が3か月で馴染むか。この3点を見れば判定できます。既にエンゲージメントサーベイを実施している場合は、スコアより自由記述を読むほうが段階の判断材料になります。

Q. 混乱期のチームに研修を実施しても大丈夫ですか?

A. 大丈夫です。むしろ混乱期は研修の効果が最も出やすい段階です。ただし対立そのものを議題にするのではなく、意見の背景にある前提を可視化する設計にしてください。個人を糾弾する場になると、対立が固定化します。事前ヒアリングでこの線引きを必ず確認します。

Q. 新しく発足したチームには、いつ実施するのがよいですか?

A. 発足から1〜2か月以内が目安です。この時期は形成期にあたり、相互理解を目的にした研修が最も効きます。逆に半年以上経ってから実施すると、既に暗黙のルールができており、それを崩す作業が加わります。異動が多い4月と10月の直後は、実施の適期です。

Q. 目的を絞ると、他の効果は得られなくなりますか?

A. なりません。目的を絞るのは、評価する軸を決めるという意味です。相互理解を目的にした研修でも、結果として発言量が増えたり相談が生まれたりします。ただし何を成果として社内に報告するかは、事前に1つ決めておいたほうが説明しやすくなります。

Q. 経営層に研修の目的をどう説明すればよいですか?

A. 「一体感」ではなく「意思決定の質」の文脈で説明してください。会議で反対意見が出ない状態は、悪い情報が上がってこない状態と同じです。トラブルの発見が遅れ、対処コストが膨らむというリスクとして示すと、投資判断の対象になります。

Q. 前回の研修の目的が分からない場合、どうすればよいですか?

A. 前回の記録を探し、なければ当時の担当者に聞いてください。それも難しい場合は、前回の話は切り離して今の段階から設計し直すほうが早くなります。当社では引き継ぎ資料がない状態でのご相談も多く、事前ヒアリングで現在の課題から組み立て直します。

Q. 目的が複数ある場合はどうすればよいですか?

A. 優先順位をつけて、1回の研修では1つに絞ってください。半日から1日で扱える目的はひとつです。複数を詰め込むと、どれも中途半端になります。年間で複数回実施できる場合は、段階の進行に合わせて目的を変えていく設計が有効です。

まとめ——目的は「チームの段階」から決まります

チームビルディング研修の目的は、「チームワークの向上」ではありません。いま自社のチームがどの段階にいるかによって変わります。形成期なら相互理解、混乱期なら対立の扱い方、統一期なら共通言語づくり、機能期なら役割の再配分です。

段階は3点で判定できます。会議で反対意見が出るか、衝突が個人間で止まっているか議題になっているか、新しく入った人が3か月で馴染むか。特別なツールは要りません。

そして目的は、「3か月後にどうなっていてほしいか」という一文に翻訳してください。誰が、どんな場面で、何をしているか。観察できる行動で書けていれば、研修会社への依頼も、社内稟議も、実施後の振り返りもすべてその一文を軸に進められます。

目的の整理からご相談されたい場合は、無料相談・お問い合わせからお気軽にご連絡ください。実際の場の空気を確かめてから検討されたい場合は、オンライン体験会(約2時間・5,000円/人・税別)もご利用いただけます。プログラムと料金の詳細は研修の内容・料金ページにまとめています。

【著者情報】

森琢也(もり たくや) 株式会社クック・ビジネスラボ代表取締役 中小企業診断士/レゴ®シリアスプレイ®認定ファシリテーター 講師歴15年以上・累計100社以上・6,000名超の研修実績 企業概要・講師プロフィール