2026/06/19
チームビルディング研修の進め方【2026年版】——企画から当日運営・事後フォローまでの実務手順
チームビルディング研修の進め方でつまずくのは、当日の運営ではありません。目的が決まらないまま日程が先行すること、そして研修後のフォローを設計しないまま当日を迎えることです。企画から効果確認までの6ステップを、人事担当者が実際に手を動かす順序で整理しました。人事が主担当なのは6つ中5つです。
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チームビルディング研修の成否は、当日より前と後で決まります
チームビルディング研修の進め方でつまずくのは、当日の運営ではありません。目的が決まらないまま日程が先行すること、そして研修後のフォローを設計しないまま当日を迎えることです。当日の進行は研修会社が担当しますが、その前後は人事の仕事です。準備に2〜3週間、事後フォローに3か月。この前後を設計しておけば、当日は自然に回ります。
この記事では、チームビルディング研修を企画から効果確認まで進める6つのステップを、人事担当者が実際に手を動かす順序でまとめます。株式会社クック・ビジネスラボは、三菱商事・AWS・PwCをはじめとする100社以上、累計6,000名以上の研修を担当してきました。発注される側から見て「この進め方なら成功する」と分かる型をお伝えします。
なお、そもそもチームビルディング研修とは何かを知りたい方はチームビルディング研修とは何かを解説した記事を、うまくいかない事例を先に押さえたい方はチームビルディング研修でよくある失敗と解決策をご覧ください。
全体の流れ——企画から効果確認までの6ステップ
まず全体像です。標準的な所要期間も添えます。
| ステップ | やること | 目安期間 | 担当 |
|---|---|---|---|
| 1. 目的を決める | 「3か月後にどうなっていてほしいか」を一文にする | 1〜2週間 | 人事 |
| 2. 対象と規模を決める | 誰を、何名、どの時間帯で集めるかを固める | 1週間 | 人事+部門長 |
| 3. 研修会社を選ぶ | 2〜3社に問い合わせ、提案と見積もりを比較する | 2〜3週間 | 人事 |
| 4. 事前準備 | 案内文の作成、会場手配、部門長への共有 | 2〜3週間 | 人事+研修会社 |
| 5. 当日の運営 | 進行は研修会社。人事は参加者として入る | 半日〜1日 | 研修会社 |
| 6. 事後フォロー | 記録の共有、3か月後の振り返り、効果の確認 | 3か月 | 人事 |
担当の列を見てください。人事が主担当なのは6ステップ中5つです。 研修会社が担うのは当日の進行だけで、成否を分ける部分の大半は社内にあります。この配分を理解しておくと、どこに時間を使うべきかが見えてきます。
企画開始から実施までは、余裕を見て1〜2か月です。当社のリードタイムはお問い合わせから通常2〜4週間(1週間以内は要相談)ですが、社内稟議と相見積もりの期間を含めるとこの程度を見込んでください。
ステップ1:目的を決める
最初にして最大の関門です。「一体感を高めたい」ではなく、「3か月後に、誰が、どんな場面で、何をしているか」を一文で書きます。
例を挙げると、「営業部の若手10名が、週次会議で自分の意見を最低1回は発言している」。これなら3か月後に確認できます。書けない場合は、たいてい対象が広すぎます。「全社員」を「営業部の若手10名」に絞り、「日常業務で」を「週次会議で」に絞る。それでも書けないなら、まだ発注する段階ではありません。
目的の立て方と、チームの発達段階に応じた目的の変わり方はチームビルディング研修の目的とタックマンモデルに詳しくまとめています。
ステップ2:対象と規模を決める
目的が決まったら、誰を集めるかを決めます。ここで人事が迷いやすいのが「全社でやるか、部署単位でやるか」です。
課題が特定の部署で顕在化しているなら、その部署単位で実施してください。 全社一斉は公平に見えますが、段階の違う部署に同じプログラムを当てることになり、どこかには合いません。先行して1部署で実施し、結果を社内資料にまとめてから横展開するほうが、予算の承認も得やすくなります。
規模については、1グループ5名(通常4〜6名)で編成するのが基本です。20名なら4グループ、40名なら8グループ。人数が増えると講師体制が変わり、費用も段階的に上がります。 人数を確定させる前に、レンジで見積もりを取っておくと調整しやすくなります。
時間帯も同時に決めます。半日(3〜4時間)なら午前か午後、1日(6〜7時間)なら休憩を挟んで通しです。関係性づくりまで狙うなら1日を推奨しています。
実施日の選び方にも、結果に効く要素があります。 月曜の午前と金曜の午後は避けてください。 月曜午前は週明けの業務が頭から離れず、金曜午後は早く終わってほしいという空気が場に出ます。火曜から木曜のいずれか、できれば午前開始が最も集中が続きます。また四半期末や決算期と重なると、当日の欠席・遅刻が増えます。日程を押さえる前に、対象部署の繁忙期を確認しておいてください。
参加者の欠席についても先に決めておくと安心です。当日欠席が出ると、グループの人数バランスが崩れます。1グループ5名の想定で3名になると、対話の密度が変わってしまう。 想定人数の1割程度は欠席が出る前提で編成する か、あるいは欠席が出た場合のグループ再編を研修会社と事前に合意しておいてください。
ステップ3:研修会社を選ぶ
2〜3社に問い合わせて比較します。この段階で最も重要なのは、 ステップ1で書いた目的の一文を必ず伝えること です。
目的を伝えずに「見積もりをください」とだけ依頼すると、どの会社も既製プログラムの金額を返してきます。それでは金額しか比べられません。目的を伝えたうえで返ってきた提案の中身が、その会社の実力です。
選定の基準、比較表の作り方、契約形態についてはチームビルディング研修の外注・業務委託先の選び方に、費用の相場はチームビルディング研修の費用・料金相場にまとめています。
ステップ4:事前準備——人事がやること・研修会社に任せること
発注が決まったら準備に入ります。役割分担を整理します。
| 項目 | 人事がやること | 研修会社に任せること |
|---|---|---|
| プログラム設計 | 課題と参加者の状況を伝える | 問いの設計、時間配分、進行台本 |
| 参加者への案内 | 案内文の作成と配信 | 案内文の文面相談には応じる |
| 会場 | 自社会議室の確保、机の配置指示 | 必要な広さ・設備の提示 |
| 教材 | 受け取りと当日までの保管 | 教材の準備と発送 |
| 上長への共有 | 部門長への目的説明と協力依頼 | 必要なら説明資料を提供 |
太字にした2つが、人事にしかできない仕事です。
案内文は、参加者の当日の入り方を決めます。 「業務命令で研修を実施します」という案内と、「普段話す機会のない同僚が何を考えているかを知る時間にします」という案内では、参加者の身構え方がまったく違います。予算も工数もかからない変数でありながら、最も見落とされています。
部門長への共有も同じくらい効きます。 目的が人事部内でしか共有されていないと、当日に現場の管理職が非協力的になります。参加者は上司の態度を見ています。可能であれば、当日の冒頭5分だけでも部門長から話してもらってください。挨拶ではなく、なぜこの時間を取るのかを自分の言葉で。この5分の有無で、参加者の本気度が変わります。
ステップ5:当日の運営——人事が見るべき3つのポイント
当日の進行は研修会社が担当します。人事がやるべきことは3つだけです。
第一に、観察者ではなく参加者として入ってください。 後ろで見ている、あるいは進行を手伝うのではなく、自分も手を動かして語る。見られている状態だと参加者が本音を出しにくくなりますし、何より研修後の社内展開が速くなります。担当者自身が体験を自分の言葉で語れるようになるからです。上司への報告も、参加していない人が書く報告書とは説得力が違います。
第二に、発言者の数を数えておいてください。 参加人数に対して実際に発言した人が何人だったか。数えるだけで、事後の効果測定に使える基準線になります。特別な記録用紙は不要です。
第三に、当日に評価をしないでください。 参加者の発言内容を人事評価の材料にすると、次回から誰も本音を話しません。この点は事前に参加者へ明言しておくと、初回から本音が出やすくなります。
当日つまずきやすい場面と対処
進行は研修会社の仕事ですが、人事として知っておくと落ち着いていられる場面を挙げます。
開始直後に空気が固い。 ほぼすべての研修で起きます。全員が手を動かす形式であれば、通常30分ほどで解けます。ここで人事が焦って盛り上げようとすると、かえって不自然になります。任せてください。
特定の人が話しすぎる。 進行役が構造で対処します。当社が用いるレゴ®シリアスプレイ®メソッドでは、全員が作品をつくってから順番に語る形式のため、発言量の偏りが起きにくくなっています。それでも偏る場合は、グループ替えで調整します。
予定より進行が遅れている。 よくあることです。対話型研修では、参加者の話が深まって時間が押すのは悪い兆候ではありません。研修会社は複数の時間配分パターンを持っているのが普通です。人事から巻きの指示を出す必要はありません。
参加者から「これは何の意味があるのか」と質問が出る。 良い質問です。この問いが出る研修は、参加者が真剣に考えている証拠です。進行役が答えますが、人事からもステップ1で決めた目的を一言添えていただけると、場が引き締まります。
失敗のパターンをより網羅的に押さえたい方はチームビルディング研修でよくある失敗と解決策をご覧ください。
ステップ6:事後フォロー——3か月後までの設計
ここを設計しないまま当日を迎えるのが、最も多い失敗です。 研修の効果は認知・行動・関係の質という3階層で現れ、3か月かけて定着します。何もしなければ、行動レベルの変化は3〜6か月で薄れます。
やることは3つです。
- 研修で語られた内容を記録して残す。作品の写真、参加者が語った言葉、共有モデル。研修会社に依頼すれば成果物として受け取れます
- 3か月後の1on1や面談で、その記録を参照する。本人が何を語ったかを思い出す機会をつくります
- 日常の最小の行動を1つ決める。全員を「さん付け」で呼ぶなど、翌日から始められるものにします
3か月後の振り返りは、研修の日程を決めるときに一緒にカレンダーへ入れてしまってください。 後から設定しようとすると、忙しさに紛れて実施されません。効果が行動レベルで止まる原因の多くは、この後工程が組まれていないことにあります。
もうひとつ、社内への共有についても触れておきます。研修の記録を参加者だけに配って終わりにすると、参加していない部署には何も伝わりません。 1ページでよいので、社内報や部門会議で共有できる要約をつくってください。 目的、当日やったこと、参加者の言葉を1つか2つ、そして3か月後に何を確認するか。これだけあれば、次年度の予算取りのときに材料として使えます。
参加者の言葉を引用する際は、必ず本人の了解を取ってください。本音を語った場が社内に晒されると分かると、次回から誰も話さなくなります。匿名にする、あるいは複数人の発言を要約する形が安全です。
効果の測り方と、経営層への報告の仕方はチームビルディング研修の効果にまとめています。
2回目以降は、進め方がどう変わるか
一度実施すると、次回からは楽になります。変えるところと変えないところを整理します。
毎回書き直すのはステップ1の目的だけです。 チームの段階は前回から変わっています。前回が形成期の相互理解だったなら、今回は混乱期の対立の扱い方かもしれない。同じ目的で2年続けると、参加者から「去年と同じことをやっている」という反応が返ってきます。
ステップ3の研修会社選びは、継続するなら省略できます。 当社の場合、2回目以降は事前設計の工数が減るため費用も抑えられます。リピート率が約80%であるのは、この積み上げが効いているためです。ただし担当者が異動した場合は、なぜその会社を選んだのかという判断の経緯が失われがちです。選定時の比較表と目的の一文を、研修の記録と一緒に残しておいてください。
ステップ6の事後フォローは、回を重ねるほど価値が上がります。 前回の記録があると、今回の研修で「1年前に語ったことが、いまどうなっているか」を扱えます。これは初回にはできない設計です。年1回のペースで続けている企業では、この積み重ねが組織の記録そのものになっています。
逆に、2回目で失敗しやすいのが「前回が良かったから同じ内容で」という進め方です。参加者は同じ体験を2度楽しみません。手法は同じでよいので、問いを変えてください。ここは研修会社に相談すれば設計してもらえます。
よくある質問(FAQ)
Q. チームビルディング研修の企画は、実施の何か月前から始めるべきですか?
A. 1〜2か月前が目安です。研修会社への問い合わせから実施まで通常2〜4週間ですが、その前に社内で目的と対象を決める期間(2〜3週間)と、相見積もり・社内稟議の期間が必要です。新入社員研修が集中する3〜4月の実施をお考えの場合は、前年12月〜1月からのご相談をおすすめします。
Q. 人事担当者は当日、何をしていればよいですか?
A. 参加者として研修に加わってください。後ろで見ている、進行を手伝うといった形は避けたほうが結果が良くなります。見られている状態だと参加者が本音を出しにくくなるためです。あわせて、発言した人の数を数えておくと、3か月後の効果測定に使える基準線になります。
Q. 参加者への案内文には、何を書けばよいですか?
A. 業務命令として通知するのではなく、その時間で何が得られるかを書いてください。「普段話す機会のない同僚が何を考えているかを知る時間にします」といった形です。あわせて、発言内容を人事評価に使わないことを明言しておくと、初回から本音が出やすくなります。文面のご相談も承ります。
Q. 部門長や役員は参加させるべきですか?
A. 全編の参加が難しければ、冒頭5分だけでも話してもらってください。挨拶ではなく、なぜこの時間を取るのかを自分の言葉で説明してもらいます。参加者は上司の態度を見ているため、この5分の有無で本気度が変わります。全編参加が可能であれば、一参加者として入っていただくのが理想です。
Q. 会場はどんな条件が必要ですか?
A. グループごとに机を囲める広さがあれば十分です。1グループ5名(通常4〜6名)で編成するため、20名なら4つの島がつくれる会議室が目安になります。プロジェクターや特別な設備は必須ではありません。教材は当社が準備し、事前にお送りします。
Q. 当日の進行が予定より遅れた場合、どうすればよいですか?
A. 人事から巻きの指示を出す必要はありません。対話型研修では参加者の話が深まって時間が押すことがあり、これは悪い兆候ではありません。研修会社は複数の時間配分パターンを用意しているのが通常です。終了時刻だけ事前に共有しておけば、その中で調整します。
Q. 参加者が乗り気でない場合、当日どうなりますか?
A. 開始直後は空気が固いのが普通で、全員が手を動かす形式であれば通常30分ほどで解けます。人事が焦って盛り上げようとすると、かえって不自然になります。累計6,000名以上の受講者の中で、途中で離脱される方はほとんどおらず、研修満足度は4.71/5.0点、推奨率は96%という評価をいただいています。
Q. 研修後、まず何をすればよいですか?
A. 研修で語られた内容の記録を、1週間以内に参加者へ共有してください。作品の写真や語られた言葉が手元に戻ると、記憶が定着します。あわせて、3か月後の振り返りの予定をこの時点で確定させてください。後回しにすると実施されません。
Q. 3か月後の振り返りは、どんな形式でやればよいですか?
A. 特別な場を設ける必要はありません。既存の1on1や面談の中で、研修時の記録を見ながら「あのとき語ったことは、いま実際どうですか」と聞くだけで機能します。30分もかかりません。研修の日程を決めるときに、同時にカレンダーへ入れておいてください。
Q. 効果が出ているかどうかは、いつ判断すればよいですか?
A. 3か月後です。当日のアンケートは満足度が高く出るため、判断材料になりません。会議での発言者数の分散、相談・1on1の発生件数、エンゲージメントサーベイの自由記述。この3点を研修前後で比べてください。1か月後に何も変わっていない場合は、後工程の設計を見直してください。
Q. 全社でやるのと、部署単位でやるのでは、どちらがよいですか?
A. 課題が特定の部署で顕在化しているなら、部署単位をおすすめします。全社一斉は公平に見えますが、チームの発達段階が異なる部署に同じプログラムを当てることになり、どこかには合いません。1部署で先行実施し、結果を社内資料にまとめてから横展開するほうが予算の承認も得やすくなります。
Q. 2回目以降は、進め方を変えるべきですか?
A. ステップ1の目的だけは毎回書き直してください。チームの段階が前回から変わっているためです。ステップ2から6は同じ流れで進められます。2回目以降は事前設計の工数が減るため、費用も抑えられます。当社のリピート率が約80%であるのは、この積み上げ方が機能しているためです。
まとめ——人事の仕事は当日ではなく、その前と後にあります
チームビルディング研修の進め方は6ステップです。目的を決める、対象と規模を決める、研修会社を選ぶ、事前準備、当日の運営、事後フォロー。このうち研修会社が担うのは5番目だけで、残る5つは人事の仕事です。
最も効くのは、案内文の書き方と部門長への共有、そして3か月後の振り返りを先にカレンダーへ入れることです。いずれも予算はかかりません。研修の内容を磨くより、この前後を整えるほうが結果への影響が大きい場面は少なくありません。
そして当日は、観察者ではなく参加者として入ってください。担当者自身が体験を語れるようになると、社内展開の速さがまったく違ってきます。
研修の企画段階からご相談されたい場合は、無料相談・お問い合わせからお気軽にご連絡ください。実際の進行を先に体験しておきたい場合は、オンライン体験会(約2時間・5,000円/人・税別)もご利用いただけます。プログラムと料金の詳細は研修の内容・料金ページにまとめています。
【著者情報】
森琢也(もり たくや) 株式会社クック・ビジネスラボ代表取締役 中小企業診断士/レゴ®シリアスプレイ®認定ファシリテーター 講師歴15年以上・累計100社以上・6,000名超の研修実績 企業概要・講師プロフィール